日本有数の窯業の盛んな地、長崎県波佐見町。この地で約400年前の江戸時代につくられはじめた磁器は、当時から日本各地はもとより、長崎港を経てヨーロッパへも出荷された。早くから量産体制が整えられたため、日用の食器としての確かな質と価格を実現したことが知られている。豊かな伝統は、現代まで脈々と受け継がれてきた。
TACTILITY - 触れた時の心地よさ
HASAMI PORCELAINの魅力は、器が手や口に触れた時の感覚にある。陶器に比べて引き締まったシャープさがあり、通常の磁器よりも優しく有機的な感触が心地よい。独特の素材感によってもたらされるマットな風合いと色彩は、どんな食材と合わせても違和感がなく、フードやドリンクを引き立ててくれる。
SIMPLICITY - 必然的なかたち
このフォルムには、一切の装飾性がない。日本の伝統的な形態の根本でもある、潔くすっきりとした直線。機能と製造工程の必然性から導かれた、意味のある曲線。シンプルな線のみで構成されているHASAMI PORCELAINのデザインは、いくつもの器が重なり合い、フォルムがリピートすることで、いっそう美しい調和をつくり出す。
USABILITY - 使うことに配慮する
HASAMI PORCELAINの器のサイズは、一定のモジュールに従っている。マグカップ、ボウル、トレイなど個々のアイテムが共通の直径でデザインされているため、自由なスタッキングが可能で、収納時や運搬時も無駄がない。さらに、トレイがボウルのフタになり、単体では大型のプレートとしても使えるように、多機能性も備わっている。
INDIVIDUALITY - その器だけの個性
単一の工場で大量生産される食器と異なり、釉掛けをはじめ多くの工程で手仕事が欠かせないHASAMI PORCELAINの器。波佐見地方の製陶業には昔から分業制が受け継がれ、その製造に複数の窯元がかかわっていて、季節や気温により窯の中の環境も変化する。そのためHASAMI PORCELAINの器はひとつずつ個性をもち、素地が赤みを帯びていたり、釉薬の質感に変化が見られたりする。フォルムやサイズも、わずかな個体差が生じることがある。こうした個性は陶磁器ならではの味わいであり、独特の景色をつくり出すもの。画一的な工業製品にはない、陶磁器本来の魅力がそこにある。